【推しの子1巻】感想(ネタバレを含みます)
目次============
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☆あらすじ
「この芸能界(せかい)において嘘は武器だ」
地方都市で、産婦人科医として働くゴロー。
芸能界とは無縁の日々。
一方、彼の”推し”のアイドル・星野アイは、スターダムを上り始めていた。
そんな二人が”最悪”の出会いを果たし、運命が動き出す…!?
以下、ネタバレを含みます
☆第一話
アイドルファンである産婦人科医のゴローは今日も(?)患者のテレビで推しのアイが所属するアイドルグループ「B小町」のライブDVDを見ていた。
看護師の忠告に対して、「美しいものを見ると健康に良い。それが私の医師としての見解だ」とゴローは答えるが、間髪を入れずに「ただの布教活動ですよね?」と突っ込まれてしまう。
その看護師はツイッターのトレンドにアイの活動停止があがっていたと告げる。
大いに狼狽するゴローに対し、件の看護師はなぜそこまでアイに入れ込んでいるのかと理由を尋ねるとゴローは過去の回想に入る。
過去のゴローも患者の病室でサボっていた。
その患者の名は、さりな。「B小町」のファンであり、中でも同い年のアイの大ファンなのだという。
同い年のキラキラした姿に魅せられていた彼女は、「アイのような顔に生まれたかった。もし、芸能人の子供に生まれ変わったら…」とゴローに言う。「そんな想像をしたことはない。さりなちゃんも可愛いんだから、退院してアイドルになりな」と答える。
しかし、さりなちゃんは12歳という若さでこの世を去ってしまう…
回想から戻り、看護師にこのような経緯でアイを推すようになったと告げるが、
看護師にはロリコン認定されてしまう。
アイの活動休止というショッキングな出来事から目の前の仕事に戻ろうとしたゴローだったが、そこに現れた患者は彼の推しであるアイだった。
検査の結果、彼女のお腹には20週の双子がいることがわかる。
その後、日が沈んみ満天の星空の広がる屋上で休憩していたゴローのもとにアイが現れる。
そこでゴローは自身がアイの正体がアイドルであることを知っていると告げる。
アイは、子供を産んで公表せずに復帰することを伝える。
「アイドルは偶像だよ?嘘という魔法で輝く生き物」
「嘘はとびきりの愛なんだよ」
それから月日は流れ、出産を間近に控えたある日、ゴローはアイのストーカーに声をかけられる。正体を探ろうとした彼はストーカーによって殺害されてしまう…
☆第二話
インタビュー①【アイドル】編
アイの娘であるルビーが女優初挑戦のインタビューを受けるところから第二話はスタートする。彼女は兄が身近にいるから大丈夫だと答える。
第一話で死んでしまったゴローはアイの息子として転生していた。
愛久愛海(アクアマリン)というキラキラネームを付けられた彼は赤ちゃんライフを満喫していた。
彼の双子の妹である瑠美衣(ルビー)とともにアイと事務所社長とその妻によって育てられていた。
この日はアイがアイドルとして復帰し、音楽番組(Nステ)に出演する日だった。
アクアの背後で彼の妹-ルビーが起きてくるが、彼女はとても乳幼児とは思えないほど言葉をしゃべって、兄になぜ起こしてくれなかったのかと詰め寄る。
彼女もまた転生してきて、前世の記憶を引き継いでいたのだった。
☆第三話
インタビュー②【マネージャー】編
ここでは、マネージャーとして事務所社長夫人が出てくる。酒屋でアクアとルビーについて語る彼女は、「あの二人は神様に導かれている」とつぶやく…。
アクアが妹も転生していると気づいたのは、深夜に彼女がスマホでアイのアンチと壮絶なリプ合戦を繰り広げていた様子を目撃してしまったからだった。
アクアは自分も転生していることをルビーに告げる。
アイが仕事で外出している間に二人の面倒を見るのは、事務所社長夫人だった。
夫人は、社長に押し付けられたベビーシッターという仕事に嫌気がさしており、
アイに子供がいるというネタをを文春に売ろうかと思案する。
そのひとりごとを聞いていた双子は、このままではアイが窮地に追い込まれると感じ、
自分たちは天の使いであると自称し、自分たちの存在をリークするのを思いとどまるようにすること。従わない場合は死ぬと脅す。
最後に言うことを聞いていればイケメン俳優を再婚できると告げられると、双子のベビーシッターを続けると誓う。
☆第四話
インタビュー③【ドルオタ】編
ドルオタは人生で好きなアイドルを聞かれ、B小町のアイと答える。
彼は、ある双子の赤ちゃんが出てくる動画で世間に見つかったと言う…
アイはエゴサして、あるユーザに「笑顔が人間臭さがない」と指摘されていた。
彼女は、自分の笑顔は作り物であることを自覚していて、痛いところを突かれたと感じる。
そのころ社長夫人にB小町のミニライブに連れて行ってもらうことに成功した双子は、
前世の血が騒いだのか、オタ芸を始めてしまう…。
その様子を見たアイは、満面の笑みを浮かべる。
☆第五話
インタビュー④【映画監督】編
五反田泰志監督なる人物がインタビューを受け、メインキャストは子供のころから見てきたと答え、最後に「この映画をアイに捧ぐ」と告げて去っていく…。
第四話から一年が経過し、着実に仕事を増やしていたアイはドラマの仕事を勝ち取る。
夫人の子供という設定で撮影現場に連れて行った双子は、五反田監督に出会う。
廊下で五反田監督に会ったアクアは、「泣き出して収録止めたら締め出す」と警告される。
アクアは「そんな粗相はしない」ととても子供とは思えない口調で答える。
その言葉に驚いた監督は、「早熟」というあだ名をアクアにつける。
数日後、アイの初ドラマを見た三人は彼女の出番の少なさに驚く。
怒ったアクアは監督のもとに電話をかけ、苦情を届ける。
そこで監督は、アイが主演より可愛かったため大幅にカットしたといい、
罪滅ぼしとして、アクアが出演することを条件にアイに映画の仕事を振ると約束する。
☆第六話
インタビュー⑤【女優】編
女優、有馬かながインタビューで天才役者という評価を受けているというインタビュアーの質問に否定を返す。彼女曰く、自分が天才でないと早いうちに気づけたことが良かったと答える。
第五話で映画に出演することになったアクアは、同じく子役の有馬かなと出会う。
周囲からちやほやされて天狗になっていた彼女は、アクアの子供とは思えない演技に衝撃を受ける。
撮影後、アクアと二人で話していた監督は、役者に必要なものは「コミュ力」だと話しかける。この「コミュ力」には、撮影側の要求する「絵」を言われなくとも忠実に表現する能力も含まれると告げ、アクアにそんな役者になれという。
☆第七話
インタビュー⑥【幼稚園職員】編
ある双子の兄妹について聞かれた女性は、彼らが子供とは思えなかったと過去を振り返って答える。
転生してから3年が経過し、売れっ子となったアイは順調に仕事を増やしていた。
そんな中、幼稚園に通うことになった双子は、転生しているがゆえにアクアが難しい本を読むなどギフテッドっぷりを周囲の職員に見せつけていく。
幼稚園で踊りを親に披露することになったルビー(さりな)は、自分が病室で一生を終えてしまったために、ダンスが苦手であることを不安に感じてしまう。
ダンスの練習をしていたルビーは、アイに自信を持つように説得され、
前世の思うように動かない身体とは違うことを実感するのだった。
☆第八話
インタビュー⑦【元経営者】編
アイの所属する事務所である苺プロの元社長がインタビューを受ける。
彼は「アイを失ったあの瞬間に…俺の人生も終わったんだよ!」と吠える…。
ある日、双子は自分たちの父親について話していた。
それを見ていたアイは、後日別れた男(父親)に公衆電話で連絡を取り、子供たちを見に来ないかと提案し、新しい住所を告げる。
アイは、主演ドラマは高視聴率、ドームでのライブを控え仕事は順調に推移していた。
ここで社長からスカウトされた日のことを回想する。
施設で育った自分は「愛している」という意味を知らず、日常的に「愛している」と告げているアイドルになるには、嘘をつかなければならないため無理だとスカウトを断ろうとする。しかし、社長は嘘をつけるのも才能だといい、どんどん嘘をついていけと言い、その言葉を聞いた彼女は、自分も嘘をついてアイドルになっていいんだ。いつか嘘の「愛している」が本当になる日が来るかもしれないと信じて、アイドルになることを決意する。
そして、ドーム公演当日、アイの家に花束を持ったストーカーが訪れ、彼女の腹部にナイフを突き立てる…
☆第九話
インタビュー⑧【役者】編
容姿の整った男性役者が演技についてインタビューされ、自分のために演じること、誰も愛さないこと、自分にとって演技は復讐であることを答える。
第八話でストーカーに刺されたアイは、「嘘は愛であること」や「いつか本当になると信じてやってきたこと」を告げる。自分の存在など覚えていないと思ったストーカは、アイが自分の名前を憶えており、土産も持っていることに驚いて発狂して彼女のもとから去っていく。
前世の記憶を頼りに救急車を呼び、的確な応急処置をするアクアにアイは、自分はもう無理だと告げ、ドーム公演や映画の関係者に迷惑をかけてしまうので謝ってほしいとアクアに言う。異常を感じて、玄関に行こうとするルビーをアクアは止める。
アイは、力を振り絞ってルビーのお遊戯会での踊りが良かったこと、ルビーもアイドルになり、いつか自分と親子共演できる日が来るのではないか、アクアは役者になるのではないかなどと未来についてつらつらと語っていく。
そして、二人の将来に思いを馳せ、小学校の入学式や授業参観に行ってみたかったと後悔を口にする。
他に言うことはなかったかと考え、彼女は最後に言わなきゃいけないことを思い出す。
「ルビー アクア 愛してる」
この言葉は嘘でないことを確認して、安堵の涙を流した後、彼女は息を引き取った。
☆第十話
インタビュー⑨【母】編
双子を抱いて、カメラに向かって語り掛けるアイの姿が映る。
彼女はいつかこの映像を一緒にお酒でも飲みながら見れたらいいなと言う。
最後に元気に育つことが唯一の母の願いだと告げて映像は終わる。
アイの死というセンセーショナルなニュースは数日のうちに忘れ去られ、母親を亡くした双子は、彼らのベビーシッターであった社長夫人に引き取られる。
葬式の後、車内でルビーはアクアに向かってアイドルになりたいことを告げる。
アクアは、なぜストーカーに自分たちの存在と家がバレたのかに思いを巡らせ、
消去法で自分たちの父親がストーカーに情報を流した可能性が高いことと彼が業界人である可能性が高いという推察にたどり着く。
そして、アクアは芸能界に入り込んで父親を見つけ出し、自分の手で殺すという決意を心中でたてる…。
☆まとめ
最近では珍しくなくなった転生ものだと思って読み始めたが、
転生先が「異世界」でないところがほかの転生作品と違うところだろう。
この1巻でアイが死んでしまうというスピーディーな展開には驚いた。
もっと推しの「子」である期間が長いと思っていたからだ。
似ている他作品としては、
・コナン(推理物・身体は子供、頭脳は大人)
・ジョジョ(遺伝子と目の☆マーク)
だと感じた。
ここまでで回収していない伏線としては、アクア(ゴロー)とルビー(さりな)がお互いの前世を知らないということである。
次巻からの二人の物語が楽しみだ。